学習指導案1 サンプル

 

指導者      :○○ ○○

指導日時     200○年 ○月○日○曜日 34時限

指導場所     :コンピュータ教室

指導学級(講座) :物理2○(男子○○名,女子○○名,計○○名)

指導教官     :○○ ○○先生

T 単元

 「放物運動」

U 単元設定の理由

・単元観

 空気抵抗が無視できる条件の下、一様な重力がかかっている地平面上で物体を投射したとき、物体の運動をどのように捉えていけばよいのかを学ぶ。運動の法則を用いて数学的に記述し、理解することを目指す。

 重力による物体の運動は日常的な現象であり、陸上競技で飛距離をのばす等、スポーツを始めとする普段の我々の行動にも密接に関わっている。その一方で、日常的であるだけに、運動が質量に依存する等、強固な思い込みが持たれ易く、事実が正確に把握され難い面を持つ。それゆえ、重力による物体の運動の法則性を知ることは、日常の諸所の局面で役立つであろう。

 また、運動をいかに理解するかという問題は、科学において分野を問わず現れてくる問題である。一方向に一様な力がかかっている場合の物体の二次元的な運動という簡単な運動を数学的に記述することは、今後その問題に対処していく上で基礎になることであると考えられる。

・生徒観

  ○○○○○○○

・指導観

 放物運動の性質を実際に目で見て理解してもらうことを第一の目的とする。そのため、あらかじめ数式によって抽象的に議論することを避ける。Mathbrainによるコンピュータシミュレーションを体験することにより、放物運動の特徴を生徒自ら視覚的に捉えられるであろう。実習中は生徒のサポートをする事を心がけ、あまり多くを教えてしまわないよう注意する。最終日はコンピュータ実習によって習得していると思われる内容の確認に主眼をおく。

V 単元の目標

 ・初速度v0、仰角θ0で地平面上より投射した場合に、任意の時刻tでの、物体の速度の水平成分vxと鉛直成分vy、位置(x,y)をそれぞれ数式を用いて記述できる。

 ・放物運動の軌道のグラフを描き、任意の点での速度ベクトルが、その点での軌道の接線方向に向いていることが理解できる。

 ・初速度一定にして、仰角θ0(°)で物体を地平面上より投射し、再び地平面上に戻ってきたときの水平到達距離をx2とした場合、同一のx2を与える仰角はθ0(90-θ0)の二つあることを求め、水平到達距離を最大にする仰角は45°であることを導くことができる。

 ・物体を初速度v0、仰角θ0で高さh0から投射した場合の軌道の式を求めることができる。

 

W 単元の資料・教具

教科書、コンピュータ、キーボード、マウス、ディスプレイ、Mathbrain Ver 2.03

X 単元の展開計画

1時限   水平投射,斜方投射(導入)

2,3時限 斜方投射, モンキーハンティング(コンピュータ実習)―――本時

4時限 (時間が許されれば指導が求められる応用)

      数値解法による空気抵抗を考慮した斜方投射,

     モンキーハンティング(コンピュータ実習)―――本時([)

5時限   斜方投射(理論),モンキーハンティング

 

Y 本時の指導計画

1.小単元名

  「斜方投射(コンピュータ実習)」

2.本時の教材観,生徒観,指導観

・本時の教材観

 Mathbrainを用い、サンプルに標準付属のファイル(斜方投射仰角(解析解))、或いは指導者の製作による、放物運動のコンピュータシミュレーションを行う。Mathbrainでは、標準にて初速度、仰角、投射点の高さ等が設定されている。それらは容易に変更が可能なため、色々な値を決定し、入力する。計算を実行すると、空気抵抗を無視し、地面を平面と見做し、重力加速度が一様であるとした理想的条件下での斜方投射の軌道が二次元直交座標系に描かれる。更に、数値解をオンにする事により、最高点の座標と投射点からそこに達するまでの時間、及び、落下点の座標と投射点からそこに達するまでの時間等を見つける事が出来る全てのデータを出力する。

・本時の生徒観

生徒には本時に与える課題の理論的解法を教えていない。しかし、前回までに水平投射まで学んでおり、それから類推することは可能であると思われる。

 生徒はコンピュータを使った授業を好む事が期待でき、物理に対する興味を持つ事が期待される。また、この講座はコンピュータの操作に不慣れで、手間取る生徒がいる可能性がある。

・本時の指導観

 本時の学習にて生徒がソフトの使用方法で躓く事は本来の目的からそれるため、コンピュータによる数値計算ソフトの概念や標準的な記述法について言及するが、ソフトに依存する機能については詳細な説明に時間をかけることは避ける。折角コンピュータを使用するのだから、出来る限り様々な条件を試して自主的にシミュレーションをさせる事に重きを置きたい。

3.本時の目標

・初速度を一定にして仰角を変える場合、同一地点に物体を落下させるような仰角は2つあり、両者の和は90°になることを理解できる。

・仰角を一定にして初速度を変えた場合、時間に関する値は初速度に、距離に関する値は初速度の二乗に、それぞれ比例することが理解できる。

・初速度v0、仰角θ0のときの、最高点の高さhと、最高点に達するまでの時間t1、及び水平距離x1を求め、さらに、再び地上に戻るまでの時間t2と、水平到達距離x2を求めることができる。また、最大水平到達距離も求められる。

・ボール投げを行うとき、仰角を4243°にとれば最大飛距離が得られることを理解できる。

・投射点の高さがh0 (m)のところから、初速度v0 (m/s)、仰角θ0で斜方投射を行ったときの、落下点までの水平到達距離x(m)を求められる。

・コンピュータを使用した数値計算に興味を持たせる。

5.本時の展開

   なお全ての標準高校用サンプルファイルは、Samples」フォルダの中の「高校数学、物理サンプル」
  
の中に収録されている。

  • また、コンピュータのスペックの違いによる速度調整のために、刻み値をグラフが見やすい値に調整する。標準では、PentiumV-700用に最適化されている。(数値解表示をオンにする際には、極端に計算速度が遅くなるため刻み値を大きめにする(刻み値は自動を推奨)。)
  • 時間、段階

    学習内容

    教師の活動

    生徒の活動

    導入 

    10分/100

    斜方投射の説明

    斜方投射の簡単な理論説明

     

    展開1

    5分/100

    実習の準備

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「斜方投射仰角(解析解).dxy」を開く。

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「斜方投射仰角(解析解).dxy」を開く。

    展開2

    10分/100

    操作に慣れる

    Mathbrainの簡単な操作説明と、Mathbrain上の斜方投射の式と、パラメータ類の説明。特に、仰角はラジアン単位のためpi/180をかけていることに注意。

    説明を聞き、操作を始める。まずは、計算開始ボタンを押して標準条件にて計算を行い、視覚的に斜方投射を観察する。

    展開3

    15分/100

    仰角と最高到達点、落下地点についての変化

    Mathbrainにて仰角の変更方法を指導する。この時、数値解をオンにしておく事。

    様々な仰角に変更してシミュレーションを行う。グラフにて視覚的に理解すると共に、数値解を見ながら最大飛行の仰角等(45°)を確認する。

    展開4

    10分/100

    ボールを投げる現実的な計算

    Mathbrainにて投げる際の高さを1.5[]とするように指導。

    仰角を変更し、1.5[m]の高さから投げる時には最大飛距離が出る仰角は、4243°程度である事を確かめる。

    休憩(10分間)

         
    4時間目(モンキーハンティング)      

    導入 

    10分/100

    モンキーハンティングの説明

    モンキーハンティングの簡単な理論の説明

     

    展開5

    5分/100

    実習の準備

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「モンキーハンティング(解析解).dxy」を開く。

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「モンキーハンティング(解析解).dxy」を開く。

    展開6

    15分/100

    猿と弾が衝突する事の確認

    Mathbrainの上記ファイルの標準状態での初期条件の説明。(猿の位置、弾の発射位置と速度など)

    説明を聞き、操作を始める。まずは、計算開始ボタンを押して標準条件にて計算を行い、視覚的に斜方投射を観察する。

    次に、数値解をオンにして数値解にて同様に確認を行う。

    展開7

    10分/100

    条件変化による衝突条件の確認-1

    Mathbrainでの初期条件の変更方法の説明。(猿の位置、弾の発射位置と速度などの変更方法)

    弾の速度は、Vx,Vyにて変更。

    様々な速度にて、弾と猿の位置関係をグラフ、アニメーションにて確認。

    展開8

    10分/100

    条件変化による衝突条件の確認-2

    Mathbrainでの初期条件の変更方法の説明。

    重力を09.8の間などで変更させる。

    様々な重力にて、弾と猿の位置関係をグラフ、アニメーションにて確認。

    猿と弾の位置関係は、重力に依存しない事の確認。無重力状態で衝突する初期条件ならば、重力の値を問わず衝突する事を確認する。

     

    6.本時の評価

    ・初速度を一定にして仰角を変える場合、同一地点に物体を落下させるような仰角は2つあり、両者の和は90°になることを理解できる。

    ・仰角を一定にして初速度を変えた場合、軌道も出力されるデータも大きくなることを理解できる。(時間に関する値は初速度に、距離に関する値は初速度の二乗に、それぞれ比例することがわかるとなお良い。)

    ・初速度v0、仰角θ0のときの、最高点の高さhと、最高点に達するまでの時間t1、及び水平距離x1を求め、さらに、再び地上に戻るまでの時間t2と、水平到達距離x2を求めることができる。また、最大水平到達距離も求められる。

    ・砲丸投げを行うとき、仰角を4243°にとれば最大飛距離が得られることを理解できる。

    ・投射点の高さがh0 (m)のところから、初速度v0 (m/s)、仰角θ0で斜方投射を行ったときの、落下点までの水平到達距離x(m)を求められる。

     

    7.本時の指導内容のまとめ(板書事項)

      ○○○○○○○

     

    Z 単元の評価

    ・物体を初速度v0、仰角θ0で地平面上より投射した場合に、任意の時刻tでの、物体の速度の水平成分vxと鉛直成分vy、位置(x,y)をそれぞれ数式を用いて記述できたか。

    ・放物運動の軌道のグラフを描き、任意の点での速度ベクトルが軌道の接線方向を向いていることが理解できたか。

    ・初速度一定にして、仰角θ0(°)で物体を地平面上より投射し、再び地平面上に戻ってきたときの水平・到達距離をx2とした場合、同一のx2を与える仰角はθ0(90-θ0)の二つあることを求め、水平到達は45°であることを導くことができたか。

    ・物体を初速度v0、仰角θ0で高さh0から投射した場合の軌道の式を求めることができたか。

     

    [ 単元の応用(コンピュータを使用した数値解法)

     ・本時の目的

    上記の物は、空気抵抗などが存在しない非現実的な理想的な状況下での解析解モデルの計算、グラフ化であり、コンピュータシミュレーションと呼ぶには抵抗がある。

    現実世界での斜方投射等のモデルでは、空気抵抗などが存在し、数値的な解法が必要とされる。

    Mathbrainにより、空気抵抗を考慮した微分方程式を計算し、現実世界での斜方投射の挙動や、距離を最大にする仰角等の特徴を探る事を目的とする。

    また、数値解法により空気抵抗など現実世界の複雑な要素が入り、解析解を持たないものが計算できる事を学ぶ。

     ・本時の生徒観

    生徒は微分方程式の数値解法についての知識が殆どない事が予想される。

     ・本時の指導観

    本時では、刻み値など、微分方程式の数値解法の概念と、数値解法により可能となったシミュレーションについて説明される事が望ましい。Mathbrainでは微分方程式の解法に、ルンゲ=クッタ法を使用しているが、詳細な計算アリゴリズムなどには言及しなくても良いと考える。また、微分方程式の表記自体に理解が薄い生徒には、式表記の説明は省き、空気抵抗を考慮した計算結果のみを視覚的に観察し、解析解との違いを理解すればよいと考える。

     

    8.本時の展開

    時間、段階

    学習内容

    教師の活動

    生徒の活動

    導入 

    20分/50

    微分方程式の数値解法の概念の理解

    本時のシミュレーションの、従来の物理学との違いの理解

    別紙のように、微分方程式の数値解法が様々な手法で存在し、数値計算が様々な分野で活用されており、解析解を持たないあらゆる問題を解けることを説明する。また、従来の物理学では空気抵抗が無い等、非現実的な条件下での近似的なものを扱ってきた事を説明する事が望ましい。

    説明を聞く

    展開1

    5分/50

    実習の準備

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「斜方投射仰角変化(空気抵抗有り).dxy」を開く。

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「斜方投射仰角変化(空気抵抗有り).dxy」を開く。

    展開2

    10分/50

    空気抵抗がある場合の斜方投射の観察

    空気抵抗は、速度に比例する定数「u」とする事の説明。「u」は、標準では存在を分かりやすくするために大き目の0.1としてある。

    始めに標準の「u」にてシミュレーションを行い、空気抵抗のない理想的な条件との飛距離などの違いを観察する。

    展開3

    15分/50

    空気抵抗の変化によるの斜方投射の観察

    空気抵抗「u」の値の変更方法の説明。これは、ボールの大きさなどにより異なる。空気抵抗により、最も飛距離の出る仰角が異なる事の説明。

    「u」を変化させ、それぞれにおいて、最も飛距離の出る仰角を探してみる。

     

     

    時間、段階

    学習内容

    教師の活動

    生徒の活動

    同様にして、空気抵抗を考慮したモンキーハンティングのシミュレーション

         

    展開1

    5分/50

    実習の準備

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「モンキーハンティング(空気抵抗あり).dxy」を開く。

    コンピュータでMathbrainを起動し、高校用サンプルの中の「モンキーハンティング(空気抵抗あり).dxy」を開く。

    展開2

    10分/50

    空気抵抗がある場合のモンキーハンティングの観察

    空気抵抗は、速度に比例する定数「u」とする事の説明。

    始めに標準の「u」にてシミュレーションを行い、空気抵抗のない理想的な条件との軌道の違いを観察する。

    展開3

    15分/50

    空気抵抗の変化によるのモンキーハンティングの観察

    空気抵抗「u」の値の変更方法の説明。これは、弾や猿などの大きさなどにより異なる。

    「u」を変化させ、それぞれにおいて、猿と弾が衝突するかどうかを計算し、「u」が同じ場合には、空気抵抗にも猿と弾の衝突は依存しないことを学ぶ。

    展開4

    20分/50

    生徒が能動的に現実モデルにシミュレーションを近づける方法を考える事

    他に、運動に関係しそうな要素などのヒントを与える。例えば、弾の揚力、猿と弾の空気抵抗の違いなど。生徒から意見が出た際には、教員が微分方程式に反映させてシミュレーションを行う。

    他の様々な、現実世界の要素を自分で考える。自分で、式を作れない際には、思いついた要素を教師に提案し、シミュレーション結果を考察する。

     

    *Mathbrainにより、実際に計算されたグラフ。